記事一覧

幕間:通信簿

殺意に近い敵意が篭められた魔力の塊を、彼は瞬時に現した剣で祓い退けた。
払ったのではない。祓ったのだ。
キィンと奇妙な音を立て、魔力の塊は大気に融け、周囲には何の被害もない。
――不意打ちに近かったにも関わらず反応できたのは、単に彼の経験の賜物だろう。

「……随分なご挨拶じゃないか。お前じゃなかったら斬り掛かってたぞ?」

武装を解かぬまま、それでも相手に一切の敵意など浮かべず
彼は姿を隠したままの相手に声をかけた。

続き

僅かに流れる、間。

観念したのか、襲撃者が影から姿を現す。
現れたのは紫掛かった銀髪の少年。濃い紫の瞳は怒りからだろう、大分険しい。

「アンタが悪い。何でアイツを送り出した!何か有ったらどうすんだよ!」

少年の言い分に、彼――翼人はぽかんとした顔を浮かべ。
直後、盛大な溜息をついた。

「今更かよ。ってか……噂にゃ聞いてたが、お前、ほんっと過保護だなぁ…
 …始終そんな調子じゃアイツがキレて飛び出すのも無理ねぇわ」
「な…、俺は兄として当然のことを言ってるだけだ!親父だって」
「過保護だって黒沙に呆れられてる、んだろう?」

間髪入れずに返された言葉に、ぐ、っと少年が詰まる。

「俺はどっちかってと放任主義だからね。お前達父子の感覚はわかんねぇよ。
 わかりたいとも思わない。けど、も少し、自分の妹を信じたらどうなんだ」
「…………」
「お前だって“初めて”の時があったろう?
 アイツは自分の意思で、自分のタイミングでその時期を決めただけだ」

言いながら、彼女が此処を訪れた時のことを思い出した。
言葉すら通じない世界に、その身一つで飛び込んできた。
会った事もない彼だけを頼りに。
無謀すぎる、と、彼も思わなかったわけではない。
だが、彼女の本気度だけは本物だった。青み掛かった銀という不思議な色の瞳には
今の少年と同じ位の強い意志が宿っていた。だから、手を貸してやった。

そして、今や彼の手助けなど不要な位に成長している。
目付け役に同行させた遣い魔からも、もう自分の手助けは不要だという報告を受ける程。

「アイツは成長してるよ。戦って勝つことだけじゃない、負けることも学んだ。
 世界を、社会を、人との関わりをも学んでる。心身共に強くなった。
 ―――今アイツとやりあったら、お前、負けるぜ?」

にい、と、わざと挑発的に笑う。
この少年も初めて会った時から比べたら、随分と成長した、とは思う。
それでも、異世界で普通の生活を過ごしただけの少年と
旅で経験を積んだ彼女とでは成長の速度と濃度が違う。
少年の方が先に生まれている分のアドバンテージはあるだろうが…
ソレを覆すだけの実力を彼女は身につけているはずだ。
彼女自身は全く意識していないだろうけれど。

「…ま、納得できないってなら、実際手合わせしてみりゃいい。
 アイツの旅が何時終わるかはわからんが、終わったら此処に来るだろう。
 その時に呼んでやる。専用結界を用意してやるから、存分に兄妹喧嘩をすると良いさ」
「……妹に手を出せるわけ無いだろ…」

すっかり覇気の抜かれた声で、少年は深く深く溜息をつく。

「まぁいい。言質はとった。アイツの旅が終わったら絶対呼び出せよ!?
 いいな!?」

忘れてたらお袋が何と言おうと親父も連れてくるからな!

そう吐き捨てて再び影の中に戻っていった少年を見送り

「……そいつは面倒だから勘弁して欲しいね……」

ちと失敗したかね、と、彼は一人、笑うのだった。

++++++++++++++++++++++++++++++++

何となく銀紫と翼人。
おかしいな、銀紫こんなにシスコンじゃなかったはずなのに(笑

翼人の居住している所は“空間の狭間”に創った空間、という脳内設定。
あちこちの世界に翼人とその遣い魔が居るのはそのせい(ぁ
AUC世界については家屋が直接繋がってる感じですかねー。
ハ○ルの動く城みたいな感じ?(ぇ

あぁでもあれとはちょっと違うかも?
あちらにしか居ない面子に関しては狭間の空間領域に踏み込ませていない、のかな。

翼人の世界転移の基本は此処の空間を中継に使うことで成り立ってそう。
狭間の世界だからどこにでも繋がるぜ、的。なんてチートなんだ!
とはいっても、今の所はDKとAUCだけかな。AUC側に居ることの方が多そう。
少し前まではDKとKOCを行き来してたけど。
ちなみに銀紫と黒沙はKOC世界の冥府との狭間に居る設定。
こらちも空間の狭間だから、影と闇を使って関わりあるところにはいける感じ。
だから翼人の作った空間に直接現れられるわけですね。成程(ぇ

なんて、設定を考えるとちょっと楽しかったので妄想してみた。
ただの自己満足です。ええ。