「―――…
……元々時限付の存在だ。本当ならもっと前に消えていた筈の。だろ?」
青年の口端に笑みが浮かぶ。
それを見て、もう一人の青年は溜息をついた。
本来訪れていたはずのリミットは延ばされた。
その時は互いに了解した上で、抜け道を見つける事が出来た故に。
だが、今回は。
「だぁら無理して探さなくて良い。俺は充分生かして貰ったよ。
ちび達は大丈夫なんだろ? だったらそれで良いさ。
――館の人たちになら、安心して任せられる」
嘘だ、と、もう一人の青年には痛いほど解っていた。
そもそも彼は自分なのだ。本心など言葉や表情が無くても解る。
『……お前は良くても俺達は駄目なのさ。大体、お前が居なくなったら
だーれが俺等の代わりにあちこち旅してくれるのさね?』
「随分な理由だな…」
『随分も何も、お前の存在理由そのものだし』
二人の青年は其々の心情を乗せて苦笑う。
『…そういうことだから、勝手に身の振り決めんじゃねぇさ。いいな?』
「やれやれ…命令だったら聞かざるを得ないな」
『命令』
簡潔に紡がれた言の葉に、つい吹き出しながら
青年は了解、と応えた。