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幕間:日常的非日常

「ふぁー…眠ぃ」
「あんな時間まで起きているからです」
「…仕方ないだろ。奴がどーしても、ってんだから」

大欠伸をしながらリビングに行けばディドからのツッコミ。
此処最近恒例と化しつつある朝の遣り取りに、今日の言い訳を沿えて
眠気覚ましの珈琲を淹れる。

続き
普段はストレートだが、眠気の酷い時や作業で相当集中力を使った後は
砂糖と牛乳を足したものを飲むようにしている。
頭に栄養行き渡らせるのも兼ねるには、此れが一番手っ取り早い…気がして。
ま、魔法人形であるこの躯に効果があるかは不明だけども。

軽く甘い程度のミルク珈琲を飲みつつ。
何か物足りなさを感じて、暫し考え

「…あぁ、そうか」

五月蝿いのが一人居なくなったんだ、と思い出した。
唐突に現れ、突然去っていった砂漠の民。
奴が此処に来てからというもの、ほぼ毎日が騒動の連続。
こちとら静かに暮らすつもりだったってのにさ。

―――けど、悪くない毎日だった。

刺激物は大事だと言っていた悪友の気持ちが少しわかる。
…ちょいと刺激的過ぎたがね。

「…ナセルさん…ご無事でしょうか…」

同じ事を思っていたのか、ぽつりとディドが言う。
ディドも何となく事情を察しているらしい。
昨晩のアイツは…今までとかなり雰囲気が違ったからな。
イディアも何かを感じたんだろう、今日は妙に大人しい。

「何、イクバールとシャーディーがついてんだ、
 滅多な事じゃくたばりゃしないだろ」

二人を元気付けるように務めて明るい声で言う。
…あの二人に渡したリングには結構強力な術を仕込んである。
正しく使いこなせるかはわからんが。
使えずとも、護符そのものとしての能力もソコソコあるはずだ。
てか…小さくても力の有る石を吟味して使ったんだから、なきゃ困る。

「さってと。

 それじゃ、作業に戻るとするわ」
「あまり根を詰めすぎないようにしてくださいね。
 あと、イディがふくれますし、適度に出てきてください」
「りょーかい」

どちらが上なのかわからん会話もまた日常。
残りをぐいっと飲み干して、昨晩進め損ねた作業を進めにアトリエに向かった。

  • 2012/08/16
  • 創作モノ::幕間/KOC