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家出したって

いいじゃない。
修行兼ねて、見聞を広めるのも兼ねて旅をしたかったんだもの。

続き
過保護な兄様と父様の目を盗んで出てきて良かった。
ほんっと…特に兄様ときたら、今の僕より早い段階で外に出てたのに
僕が出ようとすると危険だからとか何とか言っちゃって。
父様は父様でまだ早いって頭から決め付けるし。

まあ…これで母様までダメって言うなら、幾ら僕が全力で術使って
おじ様達のとこに転移しようとしても出来なかったと思う。
けど、こうして転移術が上手く行って、おじ様達のところに行けたしね。

…お目付け役は付けられちゃったけど。

ちらっと横を見る。
隣に立つ紺色の髪に紅の眼の少年は僕の視線に気がついたのか
どうしました?と言いたげに少しだけ首を横に傾げた。

この少年が僕のお目付け役。
おじ様の遣い魔を務め、この世界を共に旅した事があるから
僕のサポートにうってつけだろうとおじ様が付けてくれた。
他にもおじ様には色々と世話になってて…その辺は今は思い出さないでおこう。

「なんでもない」

と、小さく言って、渡されてた書類の穴埋めに戻る。
この世界で正規で旅をするためには、冒険者とか言うのに登録した方が
色々と有利だとかなんとか…詳しくは知らないけれど、とにかく僕は
おじ様達のアドバイスに従って、その登録手続きにディアスって街に来ていた。
登録が終わったら、一緒に旅に出てくれる人を探すつもりでいる。

僕一人でも何とか…って思ったけど、仲間は良いものだぞっておじ様も言ってたし。
お目付け役が居ても一人じゃちょっと不安もあるしね。

…良い人たちとめぐり合えると良いなぁ…。

  • 2012/11/25
  • 記:スィン