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はじまりはうたたねとともに

ぐーすか寝てたら、
何時のまにか違う姿になって知らない場所に落下していたとか、そういうことってあるんだね・・・。

続き


いつもの癖で、ごろごろしながら本を読んでいた。
自室の床の一部に厚めの布を敷いて、その上に枕代わりのクッションをかさねて、読みかけの本を広げる。
布の上にごろりと転がり、肘をついてぱらぱらめくっているうちにだんだん眠くなってきて………その後の記憶は無い。
記憶は無いが――――――。


(………いやでもあれ、自室、だった…よね!?)


目が覚めた時、ユエは非常に寝苦しかった。
暑苦しい何かが体の上からのしかり、かつがっちりホールドしている、そんな感覚がまとわりついて離れない。
もぞ、と動こうとしても体か動かなかった。

(……も……なに……)

寝苦しくて目が覚めたが、まだまだ眠い。
この不快な何かを振り払って再度ゆっくり眠ろうと、意識は片足夢の世界に突っ込んだまま、ごろりと寝返りをうとうとして――――――今度こそ完全に目が覚めた。

(……えっ……本当に動かないんだけど…!?)

冗談ではなく、動けなかった。
驚いて目を開ければ、視界が酷く暗い。
どうやら息苦しかったのはのしかかられているというよりは、何かにべったり密着されているからのようだった。
しかも、それ、はなにやら重い布とかそういったものではなく、温かくて、頬の触れているあたりが緩く規則的に上下している。
頭上からすーすー聞こえてくるのはまるで人の寝息のような……。
となると、腰の少し上辺りにがっちり巻きついてるものは腕だろうか。
だって、人の気配が、こんなに近い。

(……ん、腕?…腕…って、え、え、ええええええぇ!?)

動揺しすぎて一瞬思考回路が停止ししたが、どう考えても、ユエは、誰かと一緒に寝ていた。
それも添い寝とかいうレベルではなく、この体勢からして向かい合ってほぼ抱き合うようにして眠っているように思える。
なにせ足なんかお互いに絡んでいるのだ、誰かだ知らない相手と。

(ちょ、ちょ、ちょっと待って。ちょっと待って。昨日一人じゃなかったっけ?いや、一人だったよね!?一人だったよ!)

なんで、いつ、どうやって、というか誰とどういう経緯で!?こたえのない疑問がぐるぐると頭を回る。

  • 2012/11/20
  • 記:ユエ