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幕間:夏の夜

それは平行世界で起きたこと…かもしれない。
とある夏の、一夜の出来事。

続き

「はい、どうぞ♪」
「ありがとうございます。わぁ…、大きい…」

渡された綿菓子の大きさに目を丸くするファルーを見、微笑む。
綿菓子…まぁ、綿飴でもどっちでも良いけど、兎も角それを食べたことがない、
と言っていたのを聞いて、屋台のおじさんが気を利かせ、彼女の分は大きく作ってくれたのだ。
おじさんに有り難う、と目配せをして、彼女と二人、立ち並ぶ屋台の間を歩く。


「近場の公園で祭りがあるんだってよ!」

そんな情報を仕入れてきたのは、PT一番の賑やか大好き男・ラルフ。
丁度其々にあてがわれていた仕事も一段落した時分。
皆で行こーぜー、という話になるのは必然で。
でも、いつものままの格好で行くのはちょっと、と思い、少し時間を貰っていつかのように
突貫で衣装を作って押し付けたのは、ほんのちょっと前の話。
……流石に、ハロウィンの時より時間も無くて、適当具合が酷いんだけど(苦笑
でもまぁ、今晩一晩だけのだからね。

男性陣には浴衣。女性陣にはアオザイ。
何で女子も浴衣じゃないのかって?
女の浴衣は面倒なのよ、着るのも補正入れたりなんなりしないとだし、着てる内に
崩れてきちゃうと厄介だし、半幅帯は意外と暑いし…という私の我侭のせい、かな。
流石に浴衣が大半の中で、アオザイっていうのは目立つけれど。
でも動きやすいし…布地も浴衣地使ってるから、其処まで違和感はない。うん、ない!(ぉぃ

「それにしても、皆さん何処へ行ったんでしょうね…?」

綿菓子を少しずつ食べながら、男性陣を探してファルーはきょろきょろと視線を周囲に投げかける。

私もさっと辺りを見回すが…仲間の気配は何処にもない。
多分、リュエリアはとっくに集合場所に指定した、祭り会場から外れた川縁にいると思うし。
人込みとか嫌いそうだしね。大体、今回の祭り参加も結構渋々って感じだったから。
他の面子はー…うーん、イニャスはカキ氷とか食べてそうだな。
クロムは何してるだろう。意外とお祭りを楽しんでそうな…
ラルフ? ああ、もう論外。
ぜーったい楽しんでるから。浴衣姿の女の子に「にかっ」なんてやりまくって、
大変な事になってなきゃ良いけど。

「まぁ、皆子供じゃないんだし、時間になったら集合場所に来るでしょ」
「…そうですね」
「そうそう。あ、ほら、ヨーヨー掬いがある!やってみる?」


きっと男性陣は男性陣で各々楽しんでるから、と、ファルーに笑いかけ。
視界に入った屋台に彼女を先導していく。
お嬢様育ちの彼女は、こういう祭りに参加した事がないそうだから。
楽しまないとね♪


そうやって、色々屋台を楽しんだ後。
集合時間よりちょっと前に集合場所へ行くと、其処には案の定、リュエリアの姿。
どこで手に入れたのか、兎らしきものが描かれた団扇を手に、一人涼んでいた模様。
私たちの直ぐ後に、掬った金魚をどうしたら、と困った顔のクロムが到着。
…掬った金魚を持ち帰らなくてもいいのを知らなかったらしい(苦笑
集合時間丁度には大きなカキ氷を持ったイニャスが来たものの。
時間を10分以上過ぎても集合場所に一人だけ…言いだしっぺが戻ってこない。

何かトラブルに巻き込まれたんだろうか?
流石に少し心配になって、ラルフを探しに出かけた年長2人が見たものは――

的当ての屋台で、大量のギャラリーに囲まれたまま射的を続けてるラルフの姿だった。

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突発夏祭り絵(ぇ(同ウィンドウで開きます)