眉間に寄るかなりの皺。
描き起こし、やり取りを経て確定したデザインスケッチと
それを元に作成した試作品を前に、彼はかなり長い間悩んでいた。
「……やっぱ相当重たくなる、よなぁ……」
重さを確かめるように試作品を手のひらに乗せ、軽く上下に揺する。
装飾品――輝石や金属を使うものなのだから、当然、それなりに重さは出る。
それでも、試作したそれは思っていた以上に重たかった。
原因はわかりきっている。
メインとなる花に使用したロードナイト。
出来る限り薄く、軽くなるように加工はしたものの、相手は八重の花。
その一枚一枚を輝石にするとやはりそれなりの重さになってしまう。
石を留めるために使用する金属が多いのも原因の一端。
留め金側を透かしにして、など、色々工夫はしていても
サブメイン側にも石を使用――此方は宝石で、と指定されていた――しており
ただ飾っておくだけならばまだしも、着用して実用することを考えると……。
ふぅ、と、溜息一つ。
今回の品を作るにあたり、依頼主となった彼女から色々聞いた結果、
色味も合い、かつ、不安や恐怖を消す、といわれるこの石を使おうと思ったのだが。
重たくなりそうな気がする、とは思っていたものの…此処まで重いとは。
さてどうしたものかな、と思案する。
石を使う、という選択肢そのものがもうないのだから、取れる手段は少ない。
出来る限り重たくさせず、さりとて軽すぎず、サブメインに負けない輝きを…
となれば。
「七宝焼き……?」
あれに使用する釉薬にはたしか水晶の粉末が使われていたはず。
水晶…クォーツの持つ浄化・調和効果はいうまでもない。
色味も輝石より簡単に作り出せる事を考えれば、
あまり扱ったことのない技法でもやってみる価値は相当にありそうだ。
地金には銅を使うのが一般的だったと記憶しているが
今回は金を用いれば、装飾品としての価値も落ちないだろう。
…と、ふと思い出す。
そういえば、金も相当なパワーを持つものではなかったか、と。
オリジナル時代、金が誕生石だった友人に装飾品を贈った際
それを購入した店に置かれていた説明書にへぇ、と、思った覚えがある。
作業台の横に置いた書棚から、所謂パワーストーンの効能を記した本を取る。
ぱらぱらとページを捲り、目的の項目を見つけた彼の口元に
にやり、笑みが浮かんだ。
「…っしゃ。この方針でやり直すか!」
パタン、と本を閉じ、再び作業台に向き直る。
方針の決まった彼の眉間からは、すっかり皺が消えていた。
+++++
実話(ぇ
今回のアイコン……創作装飾品を作るにあたり、植物部分に苦戦しまして。
最初はこう、ルースっぽいカットの花弁を置いて描いてたんですが
何と言うかしっくり来ない上に、見た目からして 重 い !!(げふ
……と。
まぁそれ以上に不透明の石ですから、店主殿クラスに扱えなくて
プラスチックっぽくなっちゃっう感があったのもねー…orz
要修行です。
そんなわけで植物部分はいろいろ考えて、象嵌風というか有線七宝焼きを
イメージしたつくりにしてみました。
七宝焼きにしては透明度足りませんけどね(吐血
そこはあえてフロスト加工したとか…まぁ大目に見てください(涙
鳥に使った石のイメージはホワイトラブラドライト。
でもあんなカットしてあんな色味が出るかとかそもそもサイズが…とか、まあその辺は
ファンタジーだからって事で!(逃げた(ぉぃ
ともあれ、翼人が変なところにいろいろ拘るのは奴が暇人だからです。
職人というわけじゃないよ!w
