「「招待状?」」
私と椰子の声が綺麗に重なる。
何があったのかわからないけど、やけに上機嫌+有無を言わせない笑顔で
ラルフがPT全員にそれぞれ手渡したのは、魔法陣の刻まれた封筒。
ちなみに今のラルフは大量の封筒が入っているらしい袋を担いでいるせいで、
赤い服と赤い帽子を着けてたら“あわてんぼうのサンタクロース”って感じ。
まぁ、イブラシル大陸にサンタが居るのかは知らないんだけど。クリスマスがあるのかもね。
ん?ハロウィンはあったからクリスマスもあると考えるのが妥当か。
…なんか似合いそうだし、折角だから突貫で衣装作ってあげようかな。
いやしかし女装の件も翼人化の件もあるし…
兎も角、薄々予想しながらも誰からの招待状なのかと封を開け、真っ先に署名を確認する。
そこには流麗な字で『DancingMarionettes社長 クラウス・リィステイル』と記されていた。
『クラウスさんって…俺の出した手紙に返事くれた人だよな』
私にしか聞こえない声で椰子が言う。
そういえばそんな事もあったなぁと記憶を探る。
あれは…ラルフがホワイトデーにお菓子の家…じゃなかった、お菓子の
小屋を建てちゃった割と直ぐ後。中に居たのもあって、私は苦笑するだけだったんだけど。
こうみえて意外と真面目な椰子はちゃんとお灸を据えるべき、と判断して
DancingMarionettesの責任者宛に手紙を出したのだ。
お菓子の小屋を創った事に対してではなく、公共の場に
そういうもんを建てたってトコが椰子的にアウトだったらしい。
小屋自体行き過ぎてた感もあるにはあるけどね…あれは凄かった。
あれの10分の1でも十分過ぎると思う…ってそれは置いといて。
その手紙に返事をくれたのがこの方、クラウス・リィステイル氏。
まさか取締役社長さんからの返事が届くとは思っていなかった私達は吃驚した覚えがある。
や、今回みたいな社長の直筆署名入り手紙ならわかるけど…音声レターだったし。
あんまり会社ってものに馴染みが無いからこれが普通なのかどうかは判らないけど、
私達の元の世界で言うなら、借りた兵の所属長宛もしくは軍務大臣宛に出したつもりが、
国王が直に遣って来て応対してくれたにも等しい感じだったわけだ。
…この喩えが合ってるかどうかも横に置いておく。
友人達、とりわけ故国の国王経験者達が聞いたら絶対反論する気がするけど(苦笑
『クラウスさんには個人的にも色々厄介掛けちまったし、招待内容が何であれ、
行ったほうがいいと思うさね。旅の後、雇ってもらえないかって考えてるなら尚更さ』
(時期的に、クリスマスかカウントダウンのパーティーじゃないかなー?
そうね…私達は勿論、PT全員で行くべきだと思うよ)
応じながら署名より上の文章を確認して、やっぱりね、と椰子に笑いかける。
リュアは賑やかなの苦手そうだけど、流石にこれを断りはしないだろう。
他のメンバーに断る理由は特に無い筈。勿論私にも無い。
(お邪魔するなら何か手土産持っていかないと、よね…何がいいかしら…)
『お菓子とかは普通すぎるしなあ。しかも食堂の主が凄腕とか言ってなかったさ?』
(言ってた。初代さんも腕良かったから皆舌が肥えている、とも…
といって、モノもねぇ…何か此方に無いものを本体から送って貰えばと思うけど…
無いモノが何なのか判らないしなぁ…何かあるかなー…)
招待状に目を落としたまま眉根を寄せて真剣に考え込んでしまった私達の顔を見。
ラルフの表情が戸惑ったものになっていた事に、5分位気付かなかった。
