「やーだっ! やだったらやなの!!」
「イディ! 我侭を言うんじゃないっ」
本気で叱った少年の紅い眼を、きっ、と幼子は睨み返した。
彼女もまた一歩も譲る気が無い事を、その緑眼に宿る光が雄弁に物語っている。
無言のまま睨み合う赤と緑。
気迫を可視化できるのであれば、少年と幼子の間にとんでもなく密度の濃いそれが
互いに圧し合う――およそ子供のものとは思えぬ威圧合戦が繰り広げられているのを
目にすることができただろう。
その場に居た三人の大人のうち、一人はため息をついて、
一人は驚いて、そしてもう一人は面白そうに事態を見守っていた。
「……止めないの?」
二人に流れる緊迫した空気を刺激しないように、極々微かな声でダーシェは青年に問う。
問われた青年――翼人は二度目のため息をついて
「止めようがねぇわ。俺が仲裁してもディドかイディア、どっちかが納得しない」
と、ぼそっと返した。
その表情が呆れとも疲れともいえない微妙な表情になっているのを見
Gieはくくっと喉を鳴らす。
「特にイディは『あやつ』の羽を核にしておる。
気質が核譲りならば、折ったら折ったで後が厄介であろうよ」
「…へぇ?」
興味深そうにGieの方を見やったダーシェに、翼人は三度目のため息をつく。
「厄介とか言うな」
「事実であろう」
「否定できねぇのが癪だな、全く。 …茶でも淹れようぜ。あぁなったら長ぇ筈だから」
「え…いいの? 本当にほっといて」
いいんだ、と翼人は席を立ち、湯を沸かしに厨房へと向かった。
――初めてと言っていいだろう兄妹喧嘩。
しかしその結末は、翼人には何となくわかっていたから。
+++++
凄く中の良い遣い魔達も、極々稀に喧嘩しますとも(笑
ちなみに今回の喧嘩の理由は「どっちが遠征部隊に入るか」。
結果は言わずもがなですね。ディドの方が退きました。
ただし、必ず翼人と遠征すること(イディは週末戦・G戦には参加せず)
と、翼人と約束していたりする。
雇用された場合はその限りではないけれど、
まぁ、まず連れ回されることは無いでしょうしね!
→とか言っていたら、後半に入って連れまわす方が出てきちゃったYO!
マジカ。
