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幕間:兄妹はかく語り合い。

続き

ぎぃん、と耳障りな音と火花を散らして、彼女の短剣はその一撃を受け止めた。
覚えているよりも重さを増している一撃に、気づかれぬよう奥歯をかみ締める。
幸いにして痺れは軽い――そりゃ龍に比べたら軽いよね、と、彼女は内心で苦笑する。

ヒトと龍との一撃を比較するのは、間違っているような、居ないような。
龍の一撃にも匹敵、いや、圧倒するヒトが世の中に居ることは知っているが
少なくとも彼の一撃とそれを比較するのは酷な話であろう。

彼女はぐっと力を込めて彼の剣を押し返すと同時、無茶な体勢になるのを承知で
剣を支える手の甲を狙って片足を跳ね上げた。
スカートの裾がふわりと広がり舞って、彼は驚いたように目を開き慌てて距離をとる。
手の甲を狙われた事か、スカートの内の事か、はたまた別の理由か――
兎も角、開いた間合い。それこそが彼女の真の狙い。
間髪入れず驚異的なバネにモノを言わせて体勢を維持すると、ピッと剣先を彼に向け

「行け!」

短く、叫ぶ。
途端に剣先から生まれる黒。
生じた矢先、塊となって、飢えた獣が獲物に襲い掛かるが如く、一直線に奔る!

++

「ほぅ。随分扱いが上達したみたいだな」
「基本的にあの術一筋で戦われていましたから。上達しない方がおかしいでしょう」

少し離れた所で繰り広げられる兄妹の果し合いをのほほんと観戦しながら
青年とその遣い魔たる少年は、少女の成長を評する。

二人の視線の先、かわそうと上体を捻った少年に、
それまで一直線に奔っていた闇の塊は急な弧を描いた。
彼の肩に、闇が喰らいつく。

ばんっ!とギャラリーの面々の鼓膜を打つ、派手な破裂音。
少年の顔が苦悶に歪む。
利き腕側の肩へのダメージ、9割9分直撃だったそれを受けても
得物を離さなかったのは少年のプライドだろうか。

「勝負あり、のようね。 ――あの子の闇の扱い、本当に凄いわ。
 私でもあそこまでできるかは」
「出来るだろ?余裕で」

ていうかお前の場合あんなモンじゃないだろ。
青年の突っ込みに、同じように見学していた女は、ちろりと舌を出す。

「…して、止めぬのか」

やはり同じように見学していた男が青年に問う。

兄は未だ剣を離さない。妹も体勢を整え、油断無く切っ先を向けたまま。
緊張はまだ続いている。

「要らんだろ。二人とも引き際を見極められる位は成長してるはずさ。
 つーか、してなかったら二人とも強制送還な」
「……スィン嬢が聞いたら憤慨しますよ、それ」

さらりと条件を加味した青年に、遣い魔の少年は溜息をつく。
――しかし、それは杞憂のようで。
肩を負傷した少年が、参った、と、降参を告げる声が静かに響き渡った。

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そんな感じの兄妹喧嘩(笑
今回は妹圧勝!
兄貴が勝てるようになるのはいつでしょうねぇ……(´ω`*

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