※注
第3期に向けてのRPなSSモドキです。
想像・妄想大暴走だし2期で知り合いになった方々にもわからん記事かと。
ご覧になる場合はご注意を。
縦横無尽に広がる、果てない闇の中。
冥府と呼ばれるそこで、一人であり、二人である存在の間で交わされた言の葉。
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『本当に、本気さ? あの世界に行くなんて』
信じられねぇよ、と青年の憂う声がする。
極僅か、怒気が含まれている気がするのは、気のせいではなかろう。
それに応えるかのように、反対側から女の笑い声が上がる。
けっして、青年の言を軽蔑するような笑いではない―――苦笑いに近い笑い声。
「やぁね。彼を置いて、私が此処から離れられるわけ無いでしょう?
あの人から離れることなんて、二度と出来やしない。 耐えられるわけ無いじゃない。
…私自身が行くんじゃないわ。”人形”を創ってそれに意識を載せるつもり」
だったら何故、と問いかけかけた青年を制し、女は更に続ける。
「確かに、この冥府には愛すべき者が居て…あんなに病んでいた心身が嘘みたいに
すっかり安寧と平穏を手に入れた。けど…、満たされているとヒトって
欲深くなるわね。あの頃と同じよ。還るべき場所が、確かなものがあるからこそ、
外の世界へ行きたくなる。―――旅をしたくなる」
そこまで一息に話を続けると、女は溜息をついた。
「ただ、私自身は此処を離れられない。そりゃ、本当の”死”を迎えたわけじゃないから
頑張ればこの身一つ幾らでも離れられるけどね…。
そうしたくない理由は先述のとおり」
『…成る程。…ま…、旅をしたくなるってのは、判らなくはないさね。
…”人形”を創って、写し身としてあの世界に飛ばす、なぁ…』
女の説明に青年は納得しかけるものの、それでもなお言葉を濁す。
彼は彼女より魔法に対する知識に長けていた。だから、彼女が提示した方法が相当難しいと瞬時に判断したのだ。
彼女に魔力が無いわけではない。むしろその能力は充分すぎるほど有している。しかし、魔力制御は余り得手ではないのだ。冥府に堕りて以降、何故か制御力が向上したとはいえ人工生命、あるいは魔法生物と称される類の術は難解さの桁が違う。
彼女では”人形”を創るのは無理だろう。
そもそも、ただの”人形”ではないのだ。自身の魂の一部を載せられ、かつ、異世界を自由に動き回る――冒険に耐えうるものでなければならない。
彼女より魔力制御を得意とする彼ですら、単独で容易に創れるものではない。
既に構築済みの魔術をベースに改変を加えれば出来なくはないが、生憎、彼の知識内に構築済みのそれらの術は無かったし、あったとしても、この世界のものを媒介に創っては…
「…ヤシース?」
言葉を濁したまま黙り込んだ青年を不安に感じたのか、女が呼びかける。
彼はそのまま更に暫しの間、思考を巡らせた後
『…”人形”創りはかなり難しい術さね。本人格じゃ無理さ。俺がやるにしても
冒険に耐えうるだけを創るのは独自構築じゃ厳しい。でも、どうしてもってなら…』
「どうしても」
『…………しょうがねぇなぁっ』
即答する女に、苦笑を浮かべながら。
彼は必要なものを頭に描きつつ、それらを手に入れる算段を練り始めるのだった。
