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幕間:原風景

続き

滔々と流れる水は清く、そこに生じる風もまた冷たく清く、非常に心地良い。
はっきり言って最高・最上。
彼の得物たる装飾布もいつもより軽やかに風に身を躍らせ
透き通った刀身の剣もまた、木漏れ日を浴びて水面に負けぬ煌きを放つ。

―――やはり自然豊かなイズレーンの風土は、己に最も相性がいい。

わかっていたことではある、が、改めてそれを認識して、小さく苦笑一つ。
元々、オリジナルが永く過ごした場所がそんな土地…国だったのだ。

 北方の山々から吹き降ろす冷たく澄んだ風。
 それは冬に大地を豪雪で封じるが、春になれば雪融け水で大地を潤す。
 水の都と呼ばれる美しい町並み、そこから少し離れて広がる広大な田畑と森。

生まれた土地はそこではない、と思う。
でも、地上に降りてからの永くをそこで過ごした。
それまでより多くをそこで経験し、学び、掛け替えのないものも沢山得た。
故に魂に故国と刻まれていたとしても何の不思議もない。

趣は違えど、同じ根本――豊かな水と自然と共にある姿に
懐かしさを感じてしまうのは致し方の無いところであろう。
欠片とはいえ、魂の一部を引き継いでいるのだから。

「…はっ。ま、、悪いことじゃねぇ、よな」

銀にけぶる細かい水滴を浴び、そう結論つける。
二度と戻ることの叶わぬ故国。
――かの地でしか会うことの叶わぬ人々が、幸せで居る事を願って目を閉じ

ひらり、清流に身を躍らせた。

+++++ END

  • 2015/11/30
  • 創作モノ::幕間/AUC