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幕間:聖夜に近しいとある日の

「ただいま。
 なあ、ラルフってまだディアスさ?」

続き
「…久しぶりに帰ってきたと思ったら。いきなりだね、君たちも」

向かいの落ち着いた執務卓に着席し、報告書に目を通していた
秀麗な眉が根本に寄せられる。
それでもこの手の遣り取りに慣れているのか、言葉に対して
動作や雰囲気はさほど嫌悪感を持ってないように感じられる。
や、実際は思いっきり呆れてるだけかもしれないけど。

「すまん。 …ちょっと運動したくてさ。
 俺の動きを一番知ってるのってやっぱラルフだから」

本当のところを言えば誰でもいい―――思いっきり暴れられれば。
けどNo3・4と評されるあの二人や秘書の姉ちゃんのようなラルフ以外の
超やり手達相手だと、使い魔二人にかなりの力を分けた今の俺たちじゃ
ぶっ壊されそうだし。と言って他の面子だと俺がやりすぎる可能性。
まぁ、使い魔達を拠点置いてる世界に置いてきたし、ぶっ壊れても
構いやしないんだが。

気分的にそういう気分。

「…ラルフなら午後にはこちらに来る予定だけど、運動は許可できない。

 今がどういう時期だか、わかってるよね?」
「あ」

忘れてたの? と言わんばかりに、形のいい眉が今度は片方跳ね上がる。

あー…、そうか、そうだよな。こっちでもそういう時期か…
時間の流れ方が違うからすっかり失念してた(苦笑

「そういうわけだから、二人共手伝ってきて」

にっこりと微笑まれてそう言われたら、反論する余地なんて微塵も無い。
というか、最高権限命令だよな、それ。

「…了解」

まぁいいや。
どうやらやらなきゃいけない事はどっさり有りそうだし
暴れたい欲求をそっちに振り分けりゃ良いだけの話。
要は何かに没頭できれば良いんだから。

―――それにしたって、あぁ、やっぱ。
星空の仲間達と同じく…多少ベクトルや強さは違うかもしれないが…
俺は…俺達はこの館の人々が好きなんだな、と。
いや…俺を信じてくれるし、俺も信じてる、そんな間柄だから、かな。
用いるのか頼るのかの違いはあるだろうし、そも、そんなの全く意識した事ないけどさ!
兎も角あんなにささくれ立ってた気持ちがちょっとの会話でこんなにも柔らぐ。

今年のパーティは途中で抜ける事になりそうだが、それでも共に楽しめる、
そんな機会を与えてくれた事に心の中でだけ深く深く頭を下げる。

『…新年はあの子達も連れて一緒に、にしましょ』
(…そだな)

頭の中に響く久しぶりの感覚に、やはり心の中で応じつつ。
俺達は部屋を後にした。

  • 2011/12/22
  • 創作モノ::幕間/DK