※注
第3期に向けてのRPなSSモドキです。
想像・妄想大暴走だし2期で知り合いになった方々にもわからん記事かと。
ご覧になる場合はご注意を。
こっちは前期キャラの視点より。
「この辺りのはずなんだけど…」
手にした頼りない灯りで、2つの地図と方位磁石を見比べる。
地図の一つは一般的に市販されている、この辺りの地図。
もう一つのは明らかに手書きで、市販の地図と比べると縮尺がやけに大きい―――
明らかに一部だけを拡大して書いたものだとわかる。
昼尚暗い森の中を夜に、しかもこんなに頼りない灯りと地図、方位磁石だけでうろつくのは
普通の人間なら自殺行為も良いところだが、そも、彼女は人ではない。
こういう森の中は彼女にとって見知らぬ街中よりも判りやすい。
それでも、地図と方位磁石を頼りにしているのは、この森の中に現れる筈の
とある”モノ”を探しているためだ。
『久しぶりね、元気にしているかしら?
ふふ、急に手紙なんて届いて驚くダスクの顔が目に浮かぶわ――』
そんな書き出しで始まる懐かしい文字で綴られた手紙が届いたのは、
冒険者制度が一度白紙になるという告知を耳にしてから暫くしてのこと。
それは育ての親からの手紙。膨大な”力”を有し、”界”を渡り歩く
旅人である養い親から、”界”を超えて届いたものだった。
内容は、成長した姿を見たいから、一度戻っていらっしゃい、ということと、
彼女の古い友人がこの世界に渡る手伝いをして欲しい、というもの。
一見関連が無いように見えるが、その友人がこちらの世界へ渡った経路を応用して、
育て親の今居る”界”まで転送出来るようにしてくれるという。
(戻っていらっしゃい、というより、戻れ、という命令じゃないの…)
無視しようかという考えが一瞬頭をよぎる。
が、育て親の話を無視すると恐ろしいことこの上ない。
下手をすればあちらからやってきて…其れの方が一大事だ。
それに、育て親と友人という物好きがどんな人物なのかも見てみたい、という好奇心に負け、
冒険者制度が白紙にされパーティが解散した後、彼女からの手紙に入っていた地図を元に、
指定ポイントとなっていたこの森へやってきたのだった。
「…ここか」
ほんの少し地面が開けた場所と手書きの地図と比較して確認する。
寸分違わぬ…とは行かないが、この森でこういった場所は限られているし、
何より場の魔力の流れが此処だけ異質な感じになっていた。
少なくとも自然な魔力が流れている感じではない。
不気味さを感じながら、異質な魔力の根源を探そうと一歩前へ進む。
と、途端に目の前が明るくなった。余りの唐突さに目が追いつかず、思わず顔を背ける。
手を翳しながらゆっくりと再度視線を戻すと、地面からほんの僅か浮いた場所に
円形の光り輝く文様―――不可思議な文字が複雑に組み合わさった、魔方陣が出現していた。
見たことも無い文字と記号で描かれたそれは、育て親からの手紙にあった、
彼女の友人が創りだしたものに相違ないだろう。
本当に間違いないか声をかけて確認したい気持ちもあるが、魔方陣相手に話しかけても仕方ない、と
荷物からナイフを取り出し、指先にその刃を滑らせ、滲んで来た血を数滴、魔方陣に垂らす。
『渡る先の世界に居る者の血が必要だから、数滴で良いので提供してやって』
育て親からの手紙にはそう書いてあった。
”界”を渡るのに渡る先の者の血が必要だなんて、聞いたことが無いけれど。
どうなるのだろう、と息を飲んで見つめるダスクの前で、滴った血が
まるで紙に染み込むインクのように魔方陣を構成する文字と記号に染み渡っていき。
先程とは比べ物にならない程の眩い光が、魔方陣から放たれた。
「…ちょっと、ね、大丈夫?」
ゆさゆさと肩を揺すられ、はっと我に返る。いつの間にか地面にへたり込んでいた。
どうやら、余りの眩しさに一瞬気を失っていたらしい。
「すみません、大丈夫です。 …余りに眩しかったもので」
「無理も無いわ、この暗さからあの閃光を直に見ちゃったら。
御免ね、あんなになる予定じゃなかったんだけど」
立てる?と、差し出された手に縋り、立ち上がる。
まだ若干の眩暈は残っているものの、行動には支障ないようだ ―――と、此処で漸く、
手を差し伸べてくれた人物が魔法陣から現れた養い親の友人、ということに気付いた。
謝辞を述べる序に、さっと相手を観察する。
養い親の友人は、女性だった。年の頃は同じくらいか、若干彼女の方が上に見える。
身長は彼女の方が少し高い。体格的には同じくらい、中肉といったところか。
緩やかにうねる茶の髪は、所謂ポニーテールの位置で束ねていても背まで届くほど。
目の色は暗さで判別しがたいが、どうやら左右で違う色のようだ。
目の色も特徴的だが、特に目を引くのはその背に生えた、夜の闇にも沈まぬ白い翼。
「…天使?」
思わず口をついて出た言葉を聴いて、彼女は微笑む。
「本当の身体の方は、そういわれていた事もあったかな」
それはどういう、と、問いかけを制し、彼女はそれよりも、と言葉を続ける。
「協力してくれて有難うね。お陰で最高のコンディションの身体が出来たって言ってる。
さ、貴女のお母さんが待ってるから。消えないうちに早く」
この身体じゃ余り長く通路を開いていられないからと、両肩を押される形で促される。
見た目から推し量ったよりずっと強い膂力に抗うことも出来ず、押されるまま、
光の薄まった魔方陣に片足を突っ込む。
「あ、あの…!」
せめてこれだけは、と、半身が魔方陣の中に入ったところで、振り返りながら叫ぶ。
「せめて、貴女の名前だけでも教えて下さい…!」
問われた一瞬、ぽかんとした顔を浮かべた後。にこっと笑って、微笑みながら
「…スーシャ」
と、応じた彼女の笑顔と声が届いた刹那、強力な転送魔法が発動した。
