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幕間:冥界の門にて

何処までも続く昏い闇  ―――冥界の、中。

まさか、界を超えてもう一度冥界入りを経験することになるとは思わなかった。
この世界にも生きている者が冥界へ堕りれる、そういう入り口があるとはね。
しかも龍の守っていた5つの印は、その入り口の鍵だったなんて…

…なんか違和感。
普通、冥界に好んで入る奴は居ない。
そういうことをしたいと望むのは冥界から連れ戻したい誰か、が居る時位だろう。
そういう者に対し、龍に鍵たる印を守らせることで、試練を与えるってなら
判らなくもないけれど…もっと人為的な気がするな、これは。

続き

しかも、この冥界は私の知っている闇と、また質が違うような気がする。
何だろう、暗澹たる、というか、重い、というか…そう、安らげない。
私の知る冥界は暗闇の世界でも平穏と安寧が存在していたというのに。
場所によっては地上征服を!、なんて言ってるのも居たけどさ。
私も旦那もそれの先発部隊に駆り出されたもの。
自ら冥府に堕ち、かつ、それなりに腕の有る者に対する義務みたいなもんだから…
仕方なかったとはいえ。皆に知られたら嫌われるかもね…
あ、旦那の場合は別の理由も有ったかもしれない。
迎えに来なくていいからって言ったのに、本当にタイミングよく

『…何かいるさね』

椰子が発した警告にふっと現実に引き戻された。
黄龍戦で負った故障を直すため、椰子は中に戻っている。

(何かって、何?)
『さぁな…雰囲気的に、門番って感じじゃねぇさ?』
(冥府の門番…成る程、ありえる話ね。先に進まなきゃいけないんだとすると
 やっぱり手荒いご挨拶になるって感じかな…)
『ま、そうなる可能性が高いと思うさね。とりあえずの修復は済ませてある、
 無茶しなきゃ暴れても大丈夫さ。
 ―――龍肉を喰らってたのは色々正解だったようさね』

曰く、こちらの世界の強力な魔力を喰らってきたから、躯に変化が生じていたらしい。
自身の糧とするのは勿論、それ以外にも。

(そう。 …じゃ、今度こそしっかり暴れないとね…!)

若干どころか結構消化不良だったし、留守番って膨れてる人がいるんだから
その分しっかりきっかり盛大に大暴れしないと、合わせる顔がない。
深呼吸一つ、気合を入れ直し。
前方にはっきり見えてきた二つの影に、にっこりと笑いかけた。

  • 2010/05/18
  • 創作モノ::幕間/DK