吹き渡る風が髪を揺らす。
足元からは心地よい土と草の香り。
―――もの凄く久しぶりな大地の匂い。
降り注ぐ陽光も暖かくて心地良い…まぁ、時期的に寒くもあるけど。
その冷えも自然のこと、長い間冥府の底に居た私達には凄く新鮮な感じ。
ここはイブラシル大陸は西北の地、イブリス大平原。
大平原の名に相応しく、360度見渡す限り平原が続き…北側の遠くに、黒々とした塊が見える。
位置的にあれが噂のメフティス火山だろう。
(温泉も魅力的なんだけどねー)
『流石にあそこまで足を伸ばす時間はねぇさ』
ラルフは鍛治神様に参拝がてら、温泉にも寄ってきたようなことを言ってたから
ここまで来たなら足を伸ばしたい気持ちは凄くあるんだけど。
流石に他のメンバーを冥府に残したまま、あちこちふらふらするわけには。
それに、今回は今回で物凄く楽しいからね…!
「...お、なにやら大きいものに乗った何者かが見えてきたぞ...
あれが、もしや...」
天音さんの声に、思考を現実に引き戻して前を見る。
現れたのは妙な二人組…その攻撃力は黄龍に並ぶといわれ、またとある拘りを持つせいで
冒険者達の間では龍とは違う意味で高名な―――
「サンタさんかの?の!?」
そう、サンタクローs…え?
「こんにちは、赤鼻の鉄拳さんを連れた…ハナゲのサンタクロースさん??
ちょっと早い気もするけど、すっかりクリスマス気分ですか(笑」
「ふみー、ぷれぜんとはお持ちですか? 」
天音さんが目を輝かせ、同じくらいキラキラした目でクレアさんとちびぃが二人組に声をかける。
(サンタって名前だっけ?)
『…いや、アイアンフィストとハナゲソルジャーだって聞いてるが…』
(だよねぇ…ま、でも。
こいつらの持っているというレアアイテム狙いに来たのは間違いないし)
そういう意味じゃ、彼らはサンタとそのお供って言ってもおかしくないか。
天音さんに肯定の笑顔を向けて一つ頷き、そのままの顔で二人組に向き直る。
「ちょっと時期の早いサンタさん、私達にめっずらしーもの頂戴な!
あと、とっても楽しい時間をヨロシクね!! 」
