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幕間:2010.Halloween!

「なん…だこりゃ…」

誰かが呟いた言葉は見事に全員の心情を表現している。
此処は冥界、その中で最も危険な地ジュデッカ。
冥界でも指折りの凶悪な悪魔達の襲撃を跳ね返し、次の襲撃に備え
休息をとっていた…
それだけのはずなのに。

何がどうなってこうなったんだ?

続き

「…どうみても仮装衣装ですよね。これ」

しげしげと自分の格好をみやり、ちょっと恥ずかしげに少女が言う。

「これが仮装じゃなかったらなんだろうって感じだと思うけど」
「ですね。仮装以外にありえない…ですが」

金髪の男と、黒髪の男も困惑しつつ返す。

「んでも…これ、どうやってやったんだ?」

茶髪の男が妙な顔をしつつ、疑問を呈す。
何しろ、衣装は兎も角全員の背に翼が生えているのだ。
飾り物などではない、自分の意思で動かすことのできる翼。
コツさえつかめば飛翔できそうなぐらい、造りも力もしっかりしている。

「さあな。とりあえず…犯人は一人しか居ない、よな」

が、緑髪の男は彼の疑問を一蹴し、じろっと仲間の一人にきつい視線を向けた。
緑髪の男に倣い、他4人の視線も一人に集中する。
皆から視線を向けられた女は苦笑して、座っていた巨大な南瓜の上で
姿勢を正し、ちょこんと頭を下げた。無論、彼女もいつもの姿ではない。

「あはは…ごめんねー」
「ごめんねー、じゃない。さっさと元に戻せ」
「あ、それは無理」

何!?と憤る仲間達を手で制し
まあ話を聞いてよ、と、苦笑交じりに女は続ける。

「今年も折角だからやろうかな、とは思ってたし、準備もしてたけど。
 でもさ、こんな場所でしょ? だからPT分の仮装は見送ってたの、『私』は。
 用意してたのはこれだけ」

と、女は椅子代わりにしている巨大南瓜の後ろから、一抱え程の南瓜を取り出した。
それは既に中身が抜かれ、目口模様が切り抜かれた…ジャック・オ・ランタンと
呼ばれる代物。
どこから南瓜を調達したんだ、という質問は誰もしない。
全員が全員、この女が結構常識外れな事をやってのけるのを知っている。
というか他人に翼を生やすレベルの持ち主だ、南瓜の生成位疑問にもならない。

「そしたらなんか『本体』の方が妙なやる気出したらしくって…
 私を通じて全員に変化魔法掛けてくれちゃったみたいなのよね」
「…『人形』の俺等じゃ幾ら魔力があっても創造主の術には抗えないのさね…
 ラルフでも解けないと思うさ、こことは違う世界の魔法だから」

大南瓜の横にふわっと浮かび上がった半透明の赤髪の男が、女の言葉を補足する。
どうやら色々解呪を試した後なのか、妙に疲れた表情で。
その男の姿だけ変わりないのは、実体を持たない存在だから効果が無かったのだという。

「そう言うわけで、申し訳ないけど魔法の効力が切れるまではその格好のまま。
 ―――まぁ、そんな格好だけど防御力とかに関してはきちんと考慮したみたい。
 だから…そんなに支障はないはずだよ」

いや、防御云々以前にこの格好ってところで支障有りすぎじゃ?

全員そんな反論が頭に浮かんだが、誰も口にする者は居なかった。
…口にしたが最期、もっと酷い事になりそうな気がして。

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ファイル 90-1.png

  • 2010/10/16
  • 創作モノ::幕間/DK