それは聖域に近い、しかし特別区に指定されていない場所でのこと。
彼は「冒険者」と呼ばれる者たちであれば遭遇しえる光景に鉢合わせた。
――倒れ臥す人。
ああ、面倒くさいことになった。第一に思ったのはそれだ。
それを見つけて、直ぐに駆け寄らなかったのは恐らく彼だから、だろう。
しかしながら、まだアティルトまではそれなりに距離がある。
誰か他の者に任せようにも生憎周囲には誰も居ない。
ああ、面倒くさい。
溜息をつきながら、声をかける。反応は無い。
仕方なく抱き起こそうと手をかけ……そして唐突に走った感覚に戦慄した。
もし近場に誰か居れば、目の色が変わったと言っただろう。
驚愕の眼差しを、彼は彼女に――抱き起こして女性と知れた――に向けた。
