「―――…
……元々時限付の存在だ。本当ならもっと前に消えていた筈の。だろ?」
青年の口端に笑みが浮かぶ。
それを見て、もう一人の青年は溜息をついた。
灯りに追いやられ、部屋の隅に圧縮されていた影達が揺らめく。
最初はほんの漣程度。次第に振幅が大胆になり、溶岩のように
ぼこぼこと膨れ上がり始める。
幾ら背後で起きている出来事とはいえ、それに気が付かない筈が無いのに
部屋の主―――青年は作業場所と定めたそこから動こうとも、いや、
振り返ろうともせず、ただ黙々と作業を続けていた。
如何に禍々しい現れ方であったとしても、歓迎こそすれ
拒絶すべき相手ではないことを知っていたから。
青年は作業の手を止め、眉間を強く摘んだ。
―――目を酷使しすぎです、と、彼の遣い魔たる少年がその場に居れば言われただろう。
残念ながら彼の作業の邪魔をしないように配慮したのか、少年も幼子も居ない。
彼の手元には小さな金属パーツが数種類と、石を研磨したらしきパーツが一種類。
石の方は色味も統一されているが、金属パーツの方は恐らくは基は同じものであろうが
鈍くも様々な色合いに煌いて、無秩序に散らばっていた。