霧の漂う水上に、青年の姿はあった。
こめかみに思いっきり指を押し付ける。
あぁ、本気で頭が痛い。
どうしてこんな事態になるんだ。
机の上には館から持ち帰ってきた、館産のとびっきりの馳走。
それから真打サンタ殿と、友人達が届けてくれたという甘味。
そして、ナセルが薔薇のサンタから貰ったという貴腐ワイン。
どこからどう見たって平和な日常の、ちょっとだけ特別な一幕だろうに。
風ではありえない異常な量の雪が舞い、酷い地響きが続く。
窓の外を眺めていた居候が、すっかり酔いの醒めた青い顔で振り返り、叫んだ。
「わ、わかったぞヨクト
あれは、サンドワーム"亜種"だ!!」
…亜種って何だよ亜種って!!!!!!!!!!(吼
「あーっ、ヨクトってばどこ行ってたの!!」
扉を開けた途端、聞こえてきた声と躯への結構な衝撃。
ある程度予想はしてたので踏ん張れたが…ううむ、中々良いタックルだ。
こりゃひっくり返される日も近いかもしれないな。
「…お帰りなさい」
「おう、ただいま」
備え付けの照明を落としてランプを灯すと、ほんのりとした光が辺りを照らす。
闇を追い払うような強い光ではなく、共存するような柔らかな光…
クリスマスカラーだとされる緑と赤のリボンで作られた螺旋模様が
くるくると廻り、光に微妙な抑揚をつけているのが尚良い感じ。
これがお手製だというのだから、レンさんの器用さには驚くばかりだ。
「綺麗ね…」