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幕間:某人観察日記β

縁日に遊びに行った翌日。
珍しくナセルさんは早起きして、朝からどこかにお出かけ…して、夕方になって漸く帰宅。

「ただいまー!ヨクトー!はい、おみやげっ」

そういうナセルさんの両手には一杯の紫の花。
その中から主人に一束―――と言っても、結構な量の花を分けて渡す。
その動作で、より強い香りが僕の嗅覚を刺激して、ちょっとくしゃみが出そうになる。
…今はヒトレベルまで落としてるんだけど。
これで強い匂いだと思うんだから、相当の香りって事だろう。
そのまま上機嫌で自分の部屋へ去っていくナセルさんを見送ってから、主人に問う。

「それ…ラベンダー、でしたっけ?」
「ああ。ま、ナセルにしちゃマトモな土産だな。イディア、後でポプリにすると良いぞ」
「うん♪」

主人のナセルさんに対する認識もどうかと思うけど。
けれどまぁ、まともなのは事実ですしね…

続き

夜も遅くなって、そろそろ寝ようかなと寝室に向かう途中。
…妙な違和感を感じて僕は立ち止まった。
手を繋いでいたイディも一歩進んだ所で立ち止まり、何事か、と、視線で問う。

「うん…何か…変な感じしない?」
「へんなかんじ?  …そういえば、きょうはナセにぃひいてないね」

イディに言われてやっと違和感に気が付く。
そっか、ナセルさんが楽器を弾いてる音が聞こえないんだ。
あんなに上機嫌だったら間違いなく弾いてるはずなのに…

何となく嫌な予感がして、イディを寝かしつけた後、ナセルさんの部屋の前へ行き
聞き耳を立ててみる――― …何の音もしない。寝息すら聞こえない。
コレはおかしい、と思って、薄く扉を開けると、濃いラベンダーの香りの中に
異質な香りが一つ。その香りの元を辿っていくと…何か飲み物が入っていたらしき瓶。
あれ、これって…カライトさんに貰ってた「苺酒」…じゃ…

「―――!!」

そういえば、お風呂に入るね~と言ってから姿を見て居ない!
もう大分経ってるっていうのに。
まさか溺れたわけじゃ、と、ダッシュで風呂場に向かい、一応断ってから戸を開けると…

「い~い香り~アハハン♪あ!ヨクト!これラベンダーって言うんだよ~」

上気した頬と座った目で僕を見て、物凄く上機嫌に、ケラケラ笑うナセルさん。
僕と主人を間違える辺り、もうどれだけ出来上がってるんだっていう。
とりあえず、生きていた事には一安心。

けど、直ぐにまた違う問題に気が付いた。
浴槽は紫色の花で埋め尽くされて……え、まさか、主人に分けた以外のラベンダー全部突っ込んで…?
しかもそのまま??;


………やっぱり、貴方は何かしらやらかすんですね、と心の中で溜息を付きつつ。
幸せそうな顔して浴槽に沈んでいくナセルさんの上体を引っ張りあげ、
浴槽の端に引っ掛け、沈まないようにして僕は風呂場を後にした。

流石にこれ以上は面倒見切れませんよ。
後でしっかりこってり主人に絞られて下さいな。

…ああ、それにしても、今晩は主人が外出中でよかった。
カミナリが落ちるのは夜より昼の方が、近所迷惑にならないですからね…(溜息

  • 2011/08/25
  • 創作モノ::幕間/KOC

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