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幕間:手作りは危険な匂い?

「ねーねーディ君、これは使える?」

丁度僕の背後となる棚の中身を確認していたスィン嬢が問う。
何を見つけたのだろうと振り返れば

「…!!! だ、駄目ですよそれは!! それは危険物ですッ」

あわててスィン嬢の手から奪いとり、直ぐに元の棚にしまう。
ついでに封鎖の呪印も仕掛ける。
なんでこんなものまで貯蔵しているんだと心の中で叫んでから、主人や僕らだったら
全く害の無いものだという事に思い当たって溜息をついた。

続き
一ヶ月ほど前。
スィン嬢がディアスで知り合ったという女性――アネット嬢から
バレンタインデーが近いからと、お手製のクッキーをスィン嬢と僕とでいただいた。

そういえばそんな時期だった、と、貰ってから気がついた。
スィン嬢に至ってはそういう慣習を知らなかったらしい。
彼女の生まれ育ちを考えれば、知らないのも無理は無いのだけれど…

ともあれ。頂いたからにはお礼をしないと礼に反しますし
普段お世話になっている方に感謝の気持ちを届けたい、ということで
『ホワイトデー』の準備の為、一時的に“家”に転移で戻ろうとしたら
「僕もお返ししたい!」と、スィン嬢もついてきてしまって…

はぁ、と心の中で二度目の溜息。

僕自身お菓子の調理経験はほとんど無い。
スィン嬢に至っては調理経験そのものが皆無に等しい。
食材を見てもあまりピンと来ないのか、さっきのを始め『危険物』ばかり使えるか聞いてくる有様。
この貯蔵庫に普通じゃない食材が多すぎるのがいけないんですけどね。
それにしたって普通の…小麦粉すら見当たらないのはおかしい。
ここに常備していたはずなのに。
主人に聞きたくても仕事かそれとも別件か、あいにく不在中。

「そっかぁ、これも使えないんだ…。お菓子って材料選ぶのから難しいんだね」
「お気になさらず。ここに保管してあるものが変なものばかりなので。
 ……保管場所を変えたのかもしれません。一旦上に戻って一息入れましょう」
「うん!」

とりあえず見つけることが出来たサツマイモを籠に入れる。
卵と砂糖、バターならキッチンに絶対あるはずだから…
スィートポテトなら初心者でも何とか作れそうですね。

出来るなら他のものも作りたいところ。
でも、クッキー以外の小麦粉系は主人が居ないと結構な冒険になりそうな。
…帰ってきてくれないでしょうか…。

  • 2013/03/10
  • 創作モノ::幕間/DK

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