眉間を抑えたまま、彼はずっと動かない。
真ん中に寄せられた眉はくっきりと縦に皺を刻んでいる。
家主の沈黙。
それは十二分な圧力をもって、場の空気と時間を重くしていた。
良く見なければそうだとわからない…いや、知らなければ確実に見落としてしまう、
そんな木々にカムフラージュされたゲートをくぐれば、ぐらりと世界が揺らぐ。
前後左右上下がわからなくなる浮遊感と、それに伴う一瞬の気持ち悪さ。
何度経験しても慣れない感覚を我慢すると、直ぐに心地よい森の香りに包まれた。
青がかった銀。
青銀、には届かないけれどそれに近い色合いの髪と眼を持つ少女。
椅子に座って小首を傾げたその姿は、精巧なビスクドールを思わせた。