「よう、邪魔するぜー?」
引き篭もり完了、という噂を聞いて友人宅を訪ねる。
意外と久しぶり…友人が篭る前は俺がひっくり返ってたからなぁ。
「ヨクトー」
「彩か。元気そうで何より。 ―――ユエは?」
走り寄って来た赤い目の兎を抱っこして優しくその頭を撫でる。
…が、左の金の腕輪がきらりと光ったのを見て、直ぐに撫でるのをやめた。
「ちょっとわすれものとってくるっていってた」
「そっか。じゃ、直戻ってくるな」
「なにかおとどけもの?」
「ん? いや。遊びに誘いに来た。空中散策しねぇかって」
「よう、邪魔するぜー?」
引き篭もり完了、という噂を聞いて友人宅を訪ねる。
意外と久しぶり…友人が篭る前は俺がひっくり返ってたからなぁ。
「ヨクトー」
「彩か。元気そうで何より。 ―――ユエは?」
走り寄って来た赤い目の兎を抱っこして優しくその頭を撫でる。
…が、左の金の腕輪がきらりと光ったのを見て、直ぐに撫でるのをやめた。
「ちょっとわすれものとってくるっていってた」
「そっか。じゃ、直戻ってくるな」
「なにかおとどけもの?」
「ん? いや。遊びに誘いに来た。空中散策しねぇかって」
人差し指で宙をなぞり描くは淡く輝く魔法陣。
いつもなら完成次第崩れて床に成果を残すそれを、今日は崩さぬまま
ふっと息を吹きかけて用意しておいた鏡面へと張り付かせる。
刹那、部屋の中を映し出していた銀色の鏡面は
全てを飲み込むような漆黒の鏡面へと変じ。
そこに部屋とは違う光景と人物を映し出す。
「…よう。久しぶり」
明らかに不機嫌だとわかるその人物に、翼人は苦笑いを浮かべながら声をかけた。
ふっと不安を感じて、まどろみから目覚める。
イディを起こさないようにそっと寝台から抜け出し、リビングに向かえば
窓際に腰掛けて、じっと夜空を見上げる主人の姿。
明かりもつけず…新月の夜空から窓から入り込む僅かな星明りに照らされ闇に浮かぶ姿は
触れたら霧散しそうな位儚くて、声をかけるのが躊躇われる。
そんな僕の気配に気がついたのだろう、主人はこちらを見て
少し驚いたような顔をしてから笑みを浮かべた。
「どうした?」
「いえ…、主人の『揺れ』を感じたものですから」
誤魔化しても仕方ないので素直に応える。
返事を聞いた主人の笑みに苦いものが混じった。
「………寝てたからバレねぇと思ったのになぁ」